福祉タクシー(自費介護タクシー)が高いと言われる本当の理由

はじめに|「思っていたより高い」と感じたあなたへ
福祉タクシー(自費介護タクシー)を初めて利用される方の多くが、
見積もりを見た瞬間に、こう思われます。
- 「正直、高い…」
- 「普通のタクシーとそんなに違うの?」
- 「距離のわりに、なぜこんな金額になるの?」
その感覚は、決して間違いではありません。
むしろ、自然な疑問です。
ですが、福祉タクシーの料金は「移動距離」や「時間」だけで決まっているわけではありません。
この記事では、現場で実際に介助・医療対応を行っている立場から福祉タクシーが「高い」と言われる理由を、できるだけ正直に、わかりやすくお伝えします。
読み終えたときに「高いか安いか」ではなく、**「このサービスが必要かどうか」**で判断できるようになること。
それがこの記事の目的です。
結論からお伝えします|福祉タクシーは「移動サービス」ではありません
一般的なタクシーは、**「A地点からB地点へ安全に運ぶ」**ことが役割です。
一方、福祉タクシーは違います。
- 自宅のベッドから
- 車への移乗
- 移動中の体調管理
- 目的地での付き添い
- 再び自宅や施設へ戻るまで
「無事に行って、無事に帰るまで」それ全体がサービスです。
つまり福祉タクシーは移動 × 介助 × 安全管理 × 医療的配慮を同時に担う仕事。
料金が高く見えるのは、役割そのものがまったく違うからなのです。
福祉タクシーが高いと言われる6つの理由
理由① 介助・付き添いが料金に含まれている
乗り降りだけではありません
福祉タクシーの介助は、単に「車椅子を押す」ことではありません。
実際の現場では、
- 自宅内での移乗(ベッド→車椅子)
- 段差・狭い廊下での誘導
- 姿勢の調整、痛みへの配慮
- トイレ介助や待ち時間の付き添い
- 病院内での移動・受付・会計補助
これらすべてが含まれます。
介助には時間・体力・経験・判断力が必要です。
とくに状態が不安定な方ほど、「急がない」「無理をしない」ことが重要になります。
そのため、一般タクシーのように「早く回せば安くできる」仕事ではありません。
理由② 医療的リスクに備える責任がある
体調変化はいつ起こるかわからない
福祉タクシーの利用者には、
- 寝たきりに近い方
- 呼吸器疾患のある方
- 経鼻チューブ・胃ろう・酸素使用中の方
- 神経難病・筋疾患の方
など、医療的配慮が必要な方が多くいます。
移動中に起こりうるのは、
- 呼吸状態の変化
- 顔色・意識レベルの変化
- 痛み・苦痛の増強
- チューブ類のトラブル
「何も起きなかった」こと自体が、価値だと考えています。
そのためには、状態を常に観察し、異変にすぐ気づける知識と経験が必要になります。
理由③ 専用車両・福祉機器の維持費が高い
普通の車では成り立ちません
福祉タクシーで使われる車両は、
- 車椅子固定装置
- スロープ・リフト
- 天井高の確保
- 安全ベルト・固定具
などを備えた福祉専用車両です。
購入費用が高いだけでなく、維持費も一般車両とは比べものになりません。
理由④ リフト・スロープの整備費が非常に高い
ここは、あまり知られていない
**「高くなる大きな理由」**です。
リフトは「命を預かる装置」
車椅子リフトは、
- 数十キロ〜100kg超の重量を支える
- 人を乗せたまま昇降する
- 少しのズレや故障が重大事故につながる
非常にシビアな機械です。
そのため、
- 定期点検
- 専門業者による整備
- 部品交換
- 突然の故障対応
すべてが高額になります。
しかも、「壊れたから今日は使えません」
では済まされない世界。
安全を保つために、常に最悪を想定して整備を続ける必要があるのです。
理由⑤ 自費=すべて自己責任で運営している
福祉タクシーは、公的介護保険が使えないケースも多い完全自費サービスです。
つまり、
- ガソリン代
- 車両維持費
- 保険料
- 研修・勉強代
- 事故・トラブルのリスク
すべて事業者が背負っています。
料金には、「このサービスを継続させるためのコスト」
も含まれています。
理由⑥ 誰でもできる仕事ではない
福祉タクシーは、
- 状態を見て判断する力
- 危険を予測する力
- ご本人・ご家族の不安を和らげる力
が求められます。
マニュアル通りにいかない現場ばかりです。
だからこそ、経験と人柄そのものが価値になります。
それでも「高い」と感じる方へ
比較すべきなのは、「距離」や「時間」ではありません。
- 安心できたか
- 無理をさせていないか
- 家族の負担は減ったか
- 外出を諦めずに済んだか
そこに価値を感じられるかどうかです。
福祉タクシーは贅沢ではなく「選択肢」
外出は、
- 生活の質を保つため
- 家族の思い出を作るため
- 「まだ行ける」という希望を持つため
にあります。
福祉タクシーは、その選択肢を現実にする手段です。
まとめ|福祉タクシーの料金は「命と時間への対価」
福祉タクシーは高い。それは事実かもしれません。
でもそれは、
- 命を守るため
- 無事に帰るため
- 家族が後悔しないため
に必要なコストです。
「高いかどうか」ではなく、「誰に任せたいか」。
そう考えたときに、選ばれる存在でありたいと考えています。
最後に|まずは相談からで大丈夫です
「この状態でも外出できるのかな?」
「どこまでお願いしていいんだろう?」
そんな段階からで構いません。
ぜひ、お近くの介護・福祉タクシーを頼ってみてください。


コメント